2004年 12月 07日
海外ドラマ「ザ・プラクティス」の障害論を語る・・・。
今回は、「ザ・プラクティス」の障害論・・・。
「ザ・プラクティス」は、デビッド・E・ケリー製作の法廷ドラマ・・・。
で、「ザ・プラクティス」の障害とは何かと言うと・・・。
「法とは、裁判とは、弁護士とは、社会的正義とは、果たして何なのか?」・・・。
その答えを探す人たちの葛藤の物語なのである・・・。
ちなみに、「法」とは誰の為にあるのか?・・・。
社会的弱者、はたまた、社会的正義の実行者の為?・・・。
うーん、残念ながら、そのどちらでもない・・・。
「法」は単に、「社会秩序」の為に存在しているに過ぎない・・・。
ぶっちゃけて言うと、単なる「ルール」ですな・・・。
まあ、野球やサッカーの「ルールブック」と同じと考えてくださいな・・・。
だから、単なる「ルール」なんだから、裁判では、そのルールを使って、敵、味方に分かれてパワーゲームをしましょうよ・・・。
てな事だと思う・・・。(←まあ、「ザ・プラクティス」的に言うとだけど)
ただ、野球やサッカーと少し違うところは、退場やレッドカードを突きつけられたら、その人は人生そのものが終わってしまうという事らしい・・・。
その命のやり取りを代理して行う奴らが、そう、この「ザ・プラクティス」のメンバー達なんですな・・・。
しかし、どんなに結果が重くても、やはり、「ルール」は単なる「ルール」でしかない事は言うまでもない・・・。
で、今回はこのドラマに登場する、ある女の子のお話を・・・。
では、ネタバレも含みますので、行など開けまして・・・。(←ザ・プラクティス ファイナルシーズン 第151話 The Heat of Passion(1)のネタバレです)
今回の物語は・・・。
ロウスクールを出て弁護士資格を取り・・・。
マサチューセッツ州ボストンにある小さな弁護士事務所に勤め、一年も経った頃・・・。
どうやら、弁護士という仕事にも慣れだしてきた・・・。
そんな駆け出し弁護士である、女の子のお話・・・。
前任者の引継ぎの仕事というのは、どうも気乗りのしないもの・・・。
もともと自分の知らないところでの話だし・・・。
それも些細な案件であれば尚更、ほったらかしにしたくなるもの・・・。
彼女も、慣れが手伝ったのか、そのままに・・・。
しかし、その事件の依頼人・・・。
肥満体質200パーセントはあろうかという巨漢女は、かなりのオカンムリ状態で事務所に押しかけてくる・・・。
事件の概要はこうである・・・。
巨漢女は、ある時、両親に会う為に、娘を連れて飛行機に乗り込んだところ・・・。
離陸直前、警備員がやって来て降りてくれと言われたらしい・・・。
理由は太りすぎで隣の座席にはみ出すから、との事らしい・・・。
当然、巨漢女はガンとして拒否する・・・。
すると、娘ともども、無理やり力づくで飛行機から下ろされてしまったらしい・・・。
事件としては、ちょっと笑ってしまうような話なのだが・・・。
航空会社も、そこは客商売・・・。
正規の料金を払っている客を、ただ太っているからという理由で下ろしたとなると、評判にも関わる事なので、まあ、そこは何かしらの和解金でも払って穏便に済ませたがるだろう・・・。
女の子がそう考えるのも無理はない話・・・。
そして、大して下調べもせず、航空会社側の弁護士と和解交渉の場へ・・・。
女の子、強気な態度で・・・。
「マスコミで騒がれたくないでしょう? 天下の大航空会社が乗客が太ってるから無理やり下ろしたなんて」
航空会社側の弁護士はすかさず答える・・・。
「こちらにも言い分はある。彼女は隣の座席を占領してたんだよ、当然、そちらも正規の料金を払っている客のね」
女の子、これには自信満々な表情で・・・。
「それは航空会社が利益のために、座席の幅を狭くした事が原因じゃないかしら?」
航空会社側の弁護士は、ここでニヤリと笑って・・・。
「まあ、それにも反論できるんだが、もう、どうやら、ここいらで本題に入ろう・・・デッドラインを超えたんだよ、この件は・・・つまり・・・出訴期限を過ぎてるんだよ、お嬢さん」
女の子、顔色が変わって・・・。
「(動揺して) ・・・慰謝料請求期間は3年のはずよ」
航空会社側の弁護士はここで一気に畳み掛ける・・・。
「マサチューセッツの州法ならね。ただ、この場合は国際線なのでワルシャワ条約が適用されるんだよ・・・つまり2年間だ・・・そして、その期限は先月で切れている」
出訴期限とは、裁判所に訴えることのできる期限であ って、いわば訴権の消滅時効である・・・。
法は、権利の上に眠る者はこれを保護しない・・・。
つまりは、この事件、訴えるも何も、もう裁判所がこの事件を受け付けてくれないのである・・・。
当然、一円たりとも、賠償金や慰謝料なんてもらえるはずもない・・・。
そう、原因は、女の子のつまらない単純ミスのせいである・・・。
女の子は泣きそうになりながら、事務所に帰って、女事務員に相談する・・・。
今更、あのコワモテの巨漢女に、こんな事が言えるわけもなく・・・。
ただ、オロオロしている女の子を、必死になだめようとする女事務員・・・。
そんなところに、ひょこひょこっと、「悪魔」が近づいてくる・・・。
「何してんのー?」てな軽い感じで・・・。(←え? どんな悪魔?)
ちなみに、この悪魔、この女事務員に、普段からちょくちょく粉を掛けている・・・。
まあ、はっきり言えば、この美人の女事務員を口説きたくて仕方がないのだ・・・。(←え? どんな悪魔?)
当然、このドラマ、「Xファイル」じゃないんだから、悪魔や宇宙人が出てくるわけがない・・・。
当然、悪魔は、れっきとした人間である・・・。
しかし、この悪魔・・・。
やっぱり、人間の姿をした悪魔なんである・・・。
いや、もっと悪い事には・・・。
こいつは、「弁護士」の姿をした悪魔なのである・・・。
さらに、もっと言えば・・・。
女好きの、かなり軟派な、かなりいいかげんな、どこか、ひょうひょうとした感じの、そんな悪魔なんである・・・。(←うーん、あんまり迫力ない悪魔だなぁ)
そんな悪魔がこの一件を聞きつけて・・・。
軽い感じで、あっさり、こう言う・・・。
「僕だったら、依頼人に和解したと話し、自腹で慰謝料を払っちゃうね」
弁護士の第一義は、「依頼人の利益を守る事」・・・。
当然、こんな事が依頼人の利益を守っている事になるわけがない・・・。
これは、言うなれば、依頼人に対する詐欺行為・・・。
さあ、女の子はどうするのか?
今だったら、まだ、傷は浅いはず・・・。
だが、悪魔の提示する、この危ない橋を一度でも渡ってしまったら・・・。
その先にあるものは、女の子にも重々分かっているはず・・・。
そして、巨漢女と、相対する女の子・・・。
「(言いにくそうに) 実は・・・何て言うか・・・驚かないで聞いてちょうだいね」
じっと見つめる巨漢女・・・。
女の子、その視線に耐えられなかったのか・・・。
「(ルン♪って感じで) 実は先方から和解の話が。料金は全額返金、当然、娘さんの分もね。さらにさらに、慰謝料として1万ドル出してもいいって♪」
どうやら、この女の子が・・・。
悪魔に魂を売り渡した瞬間のようである・・・。
しかし、恐ろしい事に・・・。
女の子の本当の悲劇はここから始まるのである・・・。
なぜかと言うと、巨漢女は、この申し出に、こう言ったからである・・・。
「そんな事では引き下がれないわ。私、絶対、法廷で戦ってやる!」
女の子、万事、窮すである・・・。
もうここまで来てしまったら、この女の子・・・。
最悪は、弁護士資格剥奪までに発展する可能性も・・・。
よしんば、例え、資格が剥奪されなくても、もうこの女の子の弁護士としてのキャリアは、この瞬間に終わったのである・・・。
なぜなら、依頼人を騙すような弁護士だと評判が広まれば、どこからもつまはじきにされるのがオチだからである・・・。
そして、失意の中・・・・。
とうとう、巨漢女に本当の事を告げる日がやって来る・・・。
女の子が「実は・・・」と切り出そうとすると・・・。
巨漢女が、意外な言葉を口にする・・・。
「私、和解する事にしたの・・・」
女の子は、「???」である・・・。
巨漢女は言う・・・。
「今日ね、向こうの航空会社の人が私の家にいらっしゃって、2万5000ドル出すって。そしてね、私に謝ってくれたの・・・誠心誠意、私の目をじっと見てね。社員教育が行き届かず、不快な思いをさせてしまったって・・・そして、その人、その後ね、娘に対しても、謝ってくれたのよ」
女の子は何が何だか分かりません・・・。
そして、「あなたにも本当に迷惑をかけたわね」と言って、感謝しながら、巨漢女は帰っていく・・・。
そんな巨漢女を、じっと見送る女の子・・・。
当然、向こうの航空会社の人間が出てくるわけはない・・・。
そもそも、この話、訴え自体が無効なんだから・・・。
では、誰が・・・。
そう、あの悪魔が、航空会社の人間を騙って一芝居うっていたのである・・・。
それも、2万5000ドルという自腹まで切って、である・・・。
悪魔のもっとも優れてると思われる能力は、「人の心を読む事」であるらしい・・・。
どうやら、この悪魔、最初からこの一件、人間として、誠心誠意謝る事が解決に繋がると思ってたフシがある・・・。
そう、言うなれば、「人間の尊厳」を傷つけた事が問題なのだ、と・・・。
ちなみに、今回のようなケース・・・。
つまり、双方の弁護士を差し置いて、事件の当事者同士が和解の話し合いをするなんて、普通、絶対にありえない・・・。
そう、悪魔は素人の無知につけこんで、こんな大胆な事をやったのだ・・・。
人を馬鹿にしたようなこんな事、実にふざけた話である・・・。
はっきり言えば、「人間の尊厳」を一番、踏みにじっているのは、誰ならぬ、この悪魔自身なのである・・・。
でも、悪魔は気にしない・・・。
なぜなら、悪魔には、法や裁判なんかで人間が幸せになれない事が分かっているからである・・・。
悪魔に魂を売り渡し、一線を越えてしまった女の子・・・。
そして、非常に危険な男だと分かっていながらも、この悪魔に心を奪われていく女事務員・・・。
悪魔の本当の狙いは誰にも分からない・・・。
だが、悪魔は周りの者たちの心の中に、少しずつではあるが確実に侵食してきているようである・・・。
このドラマは、そんな女たちを巻き込みながら、少しずつ少しずつ進んでいくのかもしれない・・・。
ここで言う悪魔とは、この「ザ・プラクティス」の主役、ジェームス・スペイダーの事であります・・・。
まあ、ある種、ダーティーヒーローといった感じなんですかねぇ・・・。
でも、それでいて、どことなく、とぼけた感じの憎めないキャラクターなのも、さらにこのドラマを面白くさせている一要素なのかもしれません・・・。
私も、いろんなドラマを見てきましたが・・・。
長期間に渡り放映され、ちょっとマンネリ気味になってきたドラマというものは、一旦、下降し始めたら、どんなてこ入れをしようとも、なかなか再浮上するのは難しいもんなんです・・・。
特に、この「ザ・プラクティス」・・・。
先のシーズン7では、もう視聴率もガタ落ちするわ、製作のデビッド・E・ケリーが放送局ともめるわ、主役が何だかよく分からん降板するわで、かなり、ゴタゴタして、ああ、このドラマもここまでかなぁ、なんて思わせる感じだったんですが・・・。
シーズン8にして、このジェームス・スペイダーを主役に据え、見事、復活に成功したようです・・・。
まあ、このジェームス・スペイダー、これで、今回のエミー賞の主演男優賞獲っちゃいましたからねぇ・・・。(←ホント、超びっくり!)
まあ、でも、そりゃとるわなぁ、って感じがしますねぇ、この演技を見てると・・・。
実を言うと、この「ザ・プラクティス」・・・。
私が今まで見てきたドラマの中で、一番好きなドラマだったりするんですねぇ・・・。
まあ、私自身がちょっと法律かじった人間である事や・・・。
話の終わり方が、「どっきりオチ」とか「考えオチ」とか「泣かせオチ」とか、そんな感じの終わり方がすごく好きだったり・・・。
あと、1シーズンに最低1人は「サイコな奴」が必ず出てくるんですが、そいつらたちとのプラクティスメンバーのガチンコ対決は見ものだったりします・・・。(←なぜか不思議な事に、法廷外で戦う事が多いんですが)
そして、当然、この物語のクライマックス、判決シーンは超ドキドキものですからねぇ・・・。(←正しい人間が常に勝つとは限らないんですねぇ)
さらに、このドラマの脚本面で言うとですね・・・。
「アリー・マクビール」も実はそうなんだけど、1エピソードに複数の訴訟、まあ、多くの事件を抱えているんですが、実は、エピソードごとに一つのテーマを設定し、それを違う角度から焦点を当てるような、そんな脚本の作りにしています。まあ、この話の突っ込んだところは、「アリー・マクビールの障害論」でやるとしますかね・・・。(←本当にやるのか?)
ま、いろいろ意見はあると思うんだけど、この「ザ・プラクティス」・・・。
私の中では、相当、お勧めのドラマです・・・。
で、実は、この「ザ・プラクティス」は、今回のシーズン8で終了するんですが、このジェームス・スペイダー演じるところのアラン・ショアを主役にしたスピンオフ・ドラマ「ボストン・リーガル」が放映予定の模様ですし・・・。
まだまだ、この「ザ・プラクティス」の物語は、これからも続いていくという事ですな・・・。
めでたし、めでたし、と・・・。(←何のこっちゃ!)
「ザ・プラクティス」は、デビッド・E・ケリー製作の法廷ドラマ・・・。
で、「ザ・プラクティス」の障害とは何かと言うと・・・。
「法とは、裁判とは、弁護士とは、社会的正義とは、果たして何なのか?」・・・。
その答えを探す人たちの葛藤の物語なのである・・・。
ちなみに、「法」とは誰の為にあるのか?・・・。
社会的弱者、はたまた、社会的正義の実行者の為?・・・。
うーん、残念ながら、そのどちらでもない・・・。
「法」は単に、「社会秩序」の為に存在しているに過ぎない・・・。
ぶっちゃけて言うと、単なる「ルール」ですな・・・。
まあ、野球やサッカーの「ルールブック」と同じと考えてくださいな・・・。
だから、単なる「ルール」なんだから、裁判では、そのルールを使って、敵、味方に分かれてパワーゲームをしましょうよ・・・。
てな事だと思う・・・。(←まあ、「ザ・プラクティス」的に言うとだけど)
ただ、野球やサッカーと少し違うところは、退場やレッドカードを突きつけられたら、その人は人生そのものが終わってしまうという事らしい・・・。
その命のやり取りを代理して行う奴らが、そう、この「ザ・プラクティス」のメンバー達なんですな・・・。
しかし、どんなに結果が重くても、やはり、「ルール」は単なる「ルール」でしかない事は言うまでもない・・・。
で、今回はこのドラマに登場する、ある女の子のお話を・・・。
では、ネタバレも含みますので、行など開けまして・・・。(←ザ・プラクティス ファイナルシーズン 第151話 The Heat of Passion(1)のネタバレです)
今回の物語は・・・。
ロウスクールを出て弁護士資格を取り・・・。
マサチューセッツ州ボストンにある小さな弁護士事務所に勤め、一年も経った頃・・・。
どうやら、弁護士という仕事にも慣れだしてきた・・・。
そんな駆け出し弁護士である、女の子のお話・・・。
前任者の引継ぎの仕事というのは、どうも気乗りのしないもの・・・。
もともと自分の知らないところでの話だし・・・。
それも些細な案件であれば尚更、ほったらかしにしたくなるもの・・・。
彼女も、慣れが手伝ったのか、そのままに・・・。
しかし、その事件の依頼人・・・。
肥満体質200パーセントはあろうかという巨漢女は、かなりのオカンムリ状態で事務所に押しかけてくる・・・。
事件の概要はこうである・・・。
巨漢女は、ある時、両親に会う為に、娘を連れて飛行機に乗り込んだところ・・・。
離陸直前、警備員がやって来て降りてくれと言われたらしい・・・。
理由は太りすぎで隣の座席にはみ出すから、との事らしい・・・。
当然、巨漢女はガンとして拒否する・・・。
すると、娘ともども、無理やり力づくで飛行機から下ろされてしまったらしい・・・。
事件としては、ちょっと笑ってしまうような話なのだが・・・。
航空会社も、そこは客商売・・・。
正規の料金を払っている客を、ただ太っているからという理由で下ろしたとなると、評判にも関わる事なので、まあ、そこは何かしらの和解金でも払って穏便に済ませたがるだろう・・・。
女の子がそう考えるのも無理はない話・・・。
そして、大して下調べもせず、航空会社側の弁護士と和解交渉の場へ・・・。
女の子、強気な態度で・・・。
「マスコミで騒がれたくないでしょう? 天下の大航空会社が乗客が太ってるから無理やり下ろしたなんて」
航空会社側の弁護士はすかさず答える・・・。
「こちらにも言い分はある。彼女は隣の座席を占領してたんだよ、当然、そちらも正規の料金を払っている客のね」
女の子、これには自信満々な表情で・・・。
「それは航空会社が利益のために、座席の幅を狭くした事が原因じゃないかしら?」
航空会社側の弁護士は、ここでニヤリと笑って・・・。
「まあ、それにも反論できるんだが、もう、どうやら、ここいらで本題に入ろう・・・デッドラインを超えたんだよ、この件は・・・つまり・・・出訴期限を過ぎてるんだよ、お嬢さん」
女の子、顔色が変わって・・・。
「(動揺して) ・・・慰謝料請求期間は3年のはずよ」
航空会社側の弁護士はここで一気に畳み掛ける・・・。
「マサチューセッツの州法ならね。ただ、この場合は国際線なのでワルシャワ条約が適用されるんだよ・・・つまり2年間だ・・・そして、その期限は先月で切れている」
出訴期限とは、裁判所に訴えることのできる期限であ って、いわば訴権の消滅時効である・・・。
法は、権利の上に眠る者はこれを保護しない・・・。
つまりは、この事件、訴えるも何も、もう裁判所がこの事件を受け付けてくれないのである・・・。
当然、一円たりとも、賠償金や慰謝料なんてもらえるはずもない・・・。
そう、原因は、女の子のつまらない単純ミスのせいである・・・。
女の子は泣きそうになりながら、事務所に帰って、女事務員に相談する・・・。
今更、あのコワモテの巨漢女に、こんな事が言えるわけもなく・・・。
ただ、オロオロしている女の子を、必死になだめようとする女事務員・・・。
そんなところに、ひょこひょこっと、「悪魔」が近づいてくる・・・。
「何してんのー?」てな軽い感じで・・・。(←え? どんな悪魔?)
ちなみに、この悪魔、この女事務員に、普段からちょくちょく粉を掛けている・・・。
まあ、はっきり言えば、この美人の女事務員を口説きたくて仕方がないのだ・・・。(←え? どんな悪魔?)
当然、このドラマ、「Xファイル」じゃないんだから、悪魔や宇宙人が出てくるわけがない・・・。
当然、悪魔は、れっきとした人間である・・・。
しかし、この悪魔・・・。
やっぱり、人間の姿をした悪魔なんである・・・。
いや、もっと悪い事には・・・。
こいつは、「弁護士」の姿をした悪魔なのである・・・。
さらに、もっと言えば・・・。
女好きの、かなり軟派な、かなりいいかげんな、どこか、ひょうひょうとした感じの、そんな悪魔なんである・・・。(←うーん、あんまり迫力ない悪魔だなぁ)
そんな悪魔がこの一件を聞きつけて・・・。
軽い感じで、あっさり、こう言う・・・。
「僕だったら、依頼人に和解したと話し、自腹で慰謝料を払っちゃうね」
弁護士の第一義は、「依頼人の利益を守る事」・・・。
当然、こんな事が依頼人の利益を守っている事になるわけがない・・・。
これは、言うなれば、依頼人に対する詐欺行為・・・。
さあ、女の子はどうするのか?
今だったら、まだ、傷は浅いはず・・・。
だが、悪魔の提示する、この危ない橋を一度でも渡ってしまったら・・・。
その先にあるものは、女の子にも重々分かっているはず・・・。
そして、巨漢女と、相対する女の子・・・。
「(言いにくそうに) 実は・・・何て言うか・・・驚かないで聞いてちょうだいね」
じっと見つめる巨漢女・・・。
女の子、その視線に耐えられなかったのか・・・。
「(ルン♪って感じで) 実は先方から和解の話が。料金は全額返金、当然、娘さんの分もね。さらにさらに、慰謝料として1万ドル出してもいいって♪」
どうやら、この女の子が・・・。
悪魔に魂を売り渡した瞬間のようである・・・。
しかし、恐ろしい事に・・・。
女の子の本当の悲劇はここから始まるのである・・・。
なぜかと言うと、巨漢女は、この申し出に、こう言ったからである・・・。
「そんな事では引き下がれないわ。私、絶対、法廷で戦ってやる!」
女の子、万事、窮すである・・・。
もうここまで来てしまったら、この女の子・・・。
最悪は、弁護士資格剥奪までに発展する可能性も・・・。
よしんば、例え、資格が剥奪されなくても、もうこの女の子の弁護士としてのキャリアは、この瞬間に終わったのである・・・。
なぜなら、依頼人を騙すような弁護士だと評判が広まれば、どこからもつまはじきにされるのがオチだからである・・・。
そして、失意の中・・・・。
とうとう、巨漢女に本当の事を告げる日がやって来る・・・。
女の子が「実は・・・」と切り出そうとすると・・・。
巨漢女が、意外な言葉を口にする・・・。
「私、和解する事にしたの・・・」
女の子は、「???」である・・・。
巨漢女は言う・・・。
「今日ね、向こうの航空会社の人が私の家にいらっしゃって、2万5000ドル出すって。そしてね、私に謝ってくれたの・・・誠心誠意、私の目をじっと見てね。社員教育が行き届かず、不快な思いをさせてしまったって・・・そして、その人、その後ね、娘に対しても、謝ってくれたのよ」
女の子は何が何だか分かりません・・・。
そして、「あなたにも本当に迷惑をかけたわね」と言って、感謝しながら、巨漢女は帰っていく・・・。
そんな巨漢女を、じっと見送る女の子・・・。
当然、向こうの航空会社の人間が出てくるわけはない・・・。
そもそも、この話、訴え自体が無効なんだから・・・。
では、誰が・・・。
そう、あの悪魔が、航空会社の人間を騙って一芝居うっていたのである・・・。
それも、2万5000ドルという自腹まで切って、である・・・。
悪魔のもっとも優れてると思われる能力は、「人の心を読む事」であるらしい・・・。
どうやら、この悪魔、最初からこの一件、人間として、誠心誠意謝る事が解決に繋がると思ってたフシがある・・・。
そう、言うなれば、「人間の尊厳」を傷つけた事が問題なのだ、と・・・。
ちなみに、今回のようなケース・・・。
つまり、双方の弁護士を差し置いて、事件の当事者同士が和解の話し合いをするなんて、普通、絶対にありえない・・・。
そう、悪魔は素人の無知につけこんで、こんな大胆な事をやったのだ・・・。
人を馬鹿にしたようなこんな事、実にふざけた話である・・・。
はっきり言えば、「人間の尊厳」を一番、踏みにじっているのは、誰ならぬ、この悪魔自身なのである・・・。
でも、悪魔は気にしない・・・。
なぜなら、悪魔には、法や裁判なんかで人間が幸せになれない事が分かっているからである・・・。
悪魔に魂を売り渡し、一線を越えてしまった女の子・・・。
そして、非常に危険な男だと分かっていながらも、この悪魔に心を奪われていく女事務員・・・。
悪魔の本当の狙いは誰にも分からない・・・。
だが、悪魔は周りの者たちの心の中に、少しずつではあるが確実に侵食してきているようである・・・。
このドラマは、そんな女たちを巻き込みながら、少しずつ少しずつ進んでいくのかもしれない・・・。
ここで言う悪魔とは、この「ザ・プラクティス」の主役、ジェームス・スペイダーの事であります・・・。
まあ、ある種、ダーティーヒーローといった感じなんですかねぇ・・・。
でも、それでいて、どことなく、とぼけた感じの憎めないキャラクターなのも、さらにこのドラマを面白くさせている一要素なのかもしれません・・・。
私も、いろんなドラマを見てきましたが・・・。
長期間に渡り放映され、ちょっとマンネリ気味になってきたドラマというものは、一旦、下降し始めたら、どんなてこ入れをしようとも、なかなか再浮上するのは難しいもんなんです・・・。
特に、この「ザ・プラクティス」・・・。
先のシーズン7では、もう視聴率もガタ落ちするわ、製作のデビッド・E・ケリーが放送局ともめるわ、主役が何だかよく分からん降板するわで、かなり、ゴタゴタして、ああ、このドラマもここまでかなぁ、なんて思わせる感じだったんですが・・・。
シーズン8にして、このジェームス・スペイダーを主役に据え、見事、復活に成功したようです・・・。
まあ、このジェームス・スペイダー、これで、今回のエミー賞の主演男優賞獲っちゃいましたからねぇ・・・。(←ホント、超びっくり!)
まあ、でも、そりゃとるわなぁ、って感じがしますねぇ、この演技を見てると・・・。
実を言うと、この「ザ・プラクティス」・・・。
私が今まで見てきたドラマの中で、一番好きなドラマだったりするんですねぇ・・・。
まあ、私自身がちょっと法律かじった人間である事や・・・。
話の終わり方が、「どっきりオチ」とか「考えオチ」とか「泣かせオチ」とか、そんな感じの終わり方がすごく好きだったり・・・。
あと、1シーズンに最低1人は「サイコな奴」が必ず出てくるんですが、そいつらたちとのプラクティスメンバーのガチンコ対決は見ものだったりします・・・。(←なぜか不思議な事に、法廷外で戦う事が多いんですが)
そして、当然、この物語のクライマックス、判決シーンは超ドキドキものですからねぇ・・・。(←正しい人間が常に勝つとは限らないんですねぇ)
さらに、このドラマの脚本面で言うとですね・・・。
「アリー・マクビール」も実はそうなんだけど、1エピソードに複数の訴訟、まあ、多くの事件を抱えているんですが、実は、エピソードごとに一つのテーマを設定し、それを違う角度から焦点を当てるような、そんな脚本の作りにしています。まあ、この話の突っ込んだところは、「アリー・マクビールの障害論」でやるとしますかね・・・。(←本当にやるのか?)
ま、いろいろ意見はあると思うんだけど、この「ザ・プラクティス」・・・。
私の中では、相当、お勧めのドラマです・・・。
で、実は、この「ザ・プラクティス」は、今回のシーズン8で終了するんですが、このジェームス・スペイダー演じるところのアラン・ショアを主役にしたスピンオフ・ドラマ「ボストン・リーガル」が放映予定の模様ですし・・・。
まだまだ、この「ザ・プラクティス」の物語は、これからも続いていくという事ですな・・・。
めでたし、めでたし、と・・・。(←何のこっちゃ!)
by amiel2
| 2004-12-07 01:35
| 海外ドラマ